腎臓内科
NEPHROLOGY MEDICINE
NEPHROLOGY MEDICINE
これまで永らく「腎臓病は治らない難しい病気である」と考えられてきました。医療は日々進歩していますが、いまだ根治に至らない腎臓の病気があることもまた、事実です。腎臓は血液をろ過しておしっこを作っている臓器ですが、腎臓のろ過装置は糸球体(しきゅうたい)と呼ばれています。
この糸球体に炎症が起こり、タンパク尿や血尿が出る病気のことを総称して糸球体腎炎と呼んでいます。
このうち慢性糸球体腎炎(以下、慢性腎炎)は、タンパク尿や血尿が長期間(少なくとも1年以上)持続するものをいいます。腎臓内科は本来、この慢性腎炎の治療に当たることが主な仕事でした。尚、慢性腎炎は1つの病気ではなく、さまざまな病気の総称です。研究によって、それぞれの慢性腎炎が起こるメカニズムが少しずつではありますが、明らかになってきました。ただ、同じ疾患でも病気に至るメカニズムが複数あることが想定されており、病状の進行の違いなど、治療方法を含めまだまだ分かっていないことも多いというのが現状です。
糖尿病性腎症は糖尿病合併症のひとつです。
糖尿病性腎症では、糖尿病治療を継続頂いていれば、急におしっこが出なくなったといったことは極めて少なく、通常、長い年数をかけて病気が進行していきます。ですので、できるだけ早期に適切な治療介入をすることが重要になってきます。尚、腎臓の病気が最も進行した状態のことを末期腎不全と言いますが、末期腎不全となり、透析治療を受けている患者さんのうち38.8%(2016年末現在)の方が糖尿病性腎症です。透析に至る原因として最も多い割合を占めています。
病期 | アルブミン値(mg/gCr) あるいは 尿蛋白値(g/gCr) |
腎機能・GFR(eGFR) (ml/分/1.73m2) |
有効な治療法 |
---|---|---|---|
第1期 (腎症前期) |
正常 (30未満) |
30以上 | 血糖コントロール |
第2期 (早期腎症期) |
微量アルブミン尿 (30〜299) |
30以上 | 厳格な血糖コントロール 降圧治療 |
第3期 (顕性腎症期) |
顕性アルブミン尿(300以上) あるいは 持続性タンパク尿(0.5以上) |
30以上 | 厳格な血糖コントロール 降圧治療、タンパク質制限 |
第4期 (腎不全期) |
問わない | 30未満 | 降圧治療 低タンパク食、透析療法導入 |
第5期 (透析療法期) |
透析療法中 | 透析療法 腎移植 |
ネフローゼ症候群は単一の病気ではなく、これまで説明してきた慢性糸球体腎炎や糖尿病性腎症などのうち、基準を満たす程度まで蛋白尿が出ている状態(病態)のことを指します。以下がネフローゼ症候群の診断基準になります。
1,2を満たし、明らかな原因疾患がないものを一次性ネフローゼ症候群と診断する。
1,2を同時に満たし、明らかな原因疾患がないものを一次性ネフローゼ症候群と診断します。一次性(原発性)と言うのはネフローゼ症候群を来たす明らかな原疾患がない場合を言います。逆に明らかな原因がある場合は、二次性(続発性)ネフローゼ症候群と呼びます。
尿の中に血液(赤血球)が含まれている状態のことです。 血尿には大きく分けて、目で見て明らかに血尿とわかる肉眼的(にくがんてき)血尿と尿検査をして初めて分かった顕微鏡的(けんびきょうてき)血尿があります。 出血部位は以下のいずれかが当てはまります。
の3つです。